
海を渡って島々を旅する私は、人から「渡り鳥」とか「旅鳥」とか呼ばれています。
食料が豊富で暖かく、子育てをする場所として理想的な場所を求め大陸から海を渡り、この南の島々である沖縄にやってきました。
私たちはどういった島が楽園となるのかをよくを知っています。なぜなら人間よりはるかに高い空の彼方から、島やそこに暮らす人々生活を眺めることができるから。
どこまでも碧く透明で輝く海
天を貫くようにそびえる白い雲
島々を渡って届く潮風に揺れる森
強い日差しをさえぎる優しい木陰
ゆるりとした時間の中で暮らす人々
美しい海に浮かぶ島々からなる沖縄は、この世界でも有数の楽園として昔から私たちの間では、一生に一度は訪れるべき聖地とされてきたのです。
そんな聖地へ数年ぶりに訪れた私は、一人の奇妙な人間と偶然出会います。
家の軒先に子育てに必要な巣を造っていると、彼は私と子供たちのために、いろいろ世話をやいてくれるのです。
最初は警戒していましたが、危害を加える様子もなかったので、私はその人間を遠くから観察することにしました。
するとどうでしょう。面白いことに彼は私たちと同じ「鳥の目」を操っていたのです。
彼は「鳥の目」を使い、私たち渡り鳥しか知らなかったこの美しい楽園を記録し、その術をもたない人達へ届ける。そんなことを生業としている珍しい人間でした。
彼には軒先を借りている恩もあるし、せめてものお礼として彼のゆく後を追い、「鳥の目」の周りを一緒に飛び、「渡り鳥の目」を追ってもらうことにしました。
彼の「鳥の目」には、私たち渡り鳥が旅してたどり着いた美しい沖縄の風景が詰まっています。きっと人間の目だけでは見ることができなかった沖縄を発見することができます。
「鳥の目」を通じ、渡り鳥の楽園である島の自然を、あなたにも好きになってもらえると嬉しいです。

Wataridor~うみめぐり~