読谷の夕日


アコークロー・ツヨ


ツヨ:相変わらず元気そうだねオバー

オバー:おお、ツヨか… アタシなんかのところにくる暇あったのかい⁉

ツヨ:あるもなにも、オバーは俺にいろんなことを教えてくれたからさ、礼だよw

オバー:礼か…ありがとう

ツヨ:オバー、良かったらこれから海を見に行かないか?

オバー:いいよ、「読谷の海」だよね⁉

ツヨ:あぁ、あの海に沈む太陽が見たくてさ

オバー:わかったよ、それじゃいこうか?

ツヨ:ありがとうオバー



【読谷の夕日レビュー】

沈む太陽を見るためにツヨとオバーが飛んで行った「読谷の海」は、サトウキビ畑を抜けた先にある東シナ海。月の欠け方を見ると新月(=月のでない夜)を過ぎた頃になります。

海にかがやきながら沈んでいく太陽は、空気中のチリが少ないことの証。沖縄の夕日独特のかがやきに魅せられて読谷に移り住む人も数多くいるとかいないとか…

この海が読谷のどこの海なのかは秘密です。チョットした冒険感覚で映像をたよりに探しに行くのもいいかもしれませんね♪



ツヨ:俺さ、ようやくオバーのいっていた「赦し」ってやつが少しだけどわかったような気がしてるんだ

オバー:そうかいそうかい、それはよかった…

ツヨ:俺たち生き物ってさ、ホントはこの広い世界の一部でしかないクセに、いつのまにか自分だけで生きて、自分だけで全てを決められて、自分を中心に回らない世界が悪いなんて思っちまうじゃないか

オバー:そうだね、ワタシも若いころそうだったしね…

ツヨ:俺なんかやりすぎて身体ぶっ壊しちまったw

オバー:もごとには限度ってもんがあるんだよw

ツヨ:ほんと、あの時はもう終わりだって、毎日死ぬことばかり考えてた

オバー:まぁ、上手くいかないことが重なれば、誰でもそういう想いにとらわれてしまうもんだよ





ツヨ:でもさ、オバーが教えてくれたじゃん、実は俺たちの住んでるこの世界が、あの太陽の周りを回ってるんだって

オバー:そうだったねw アンタ「ウソだー!!」って、いってた

ツヨ:そうそう、絶対ウソだっていろんな奴に片っ端から聞いて回って、ホントのことだってわかってさ、俺はこの世界のことを知ったつもりになってたんだなって思ったんだよ

オバー:まぁ私たちの目に映る景色なんて、この世界のほんの一部だしね。

ツヨ:おっ⁉ 太陽海に沈んだね

オバー:ホント落ち始めるとあっというだね

ツヨ:俺さ、この太陽が落ちてからの空の色が好きでね

オバー:そうだね、いつ見ても不思議な空だよ





ツヨ:オバー、この時間をこの島ではアコークローっていうって知ってた⁉

オバー:赤く染まる空と、夜がやってくる黒い空。あの世とこの世が交わるっていういい伝えもある…

ツヨ:いい伝えねw オバー知ってたんだ

オバー:歳を重ねるとね、いろんな知識が身につくのと同時に、見たくないものが見えてしまうことことも多いもんさ。

ツヨ:俺は見たくないもんなん?

オバー:どうだろうね、嬉しくもあり…ってところだよw

ツヨ:ひでーなババーwww

オバー:それはお互い様だよw





ツヨ:俺さ、色々大変なこともあったけど、この世界の一部としてこの世に生まれてきたこと、良かったなって思うんだ。

オバー:それは良かったじゃないか

ツヨ:だってさ、俺たちホントは生まれてから死ぬまで、ずっとずっとこの世界で生きることを「赦し」てもらってるんだぜ⁉

オバー:そうだね…

ツヨ:すごいよな、こんなすごい力を分け隔てなく、俺たち生き物に平等に与えてくれるなんてさ。もっとはやく気がつけたら、いろんなこと変えていけたかもな

オバー:ツヨは十分頑張ってたよ、ワタシなんか足元にも及ばないくらいにね…

ツヨ:なんかオバーにそういわれると嬉しいねw ありがと☆

オバー:あっ、いつの間にか月が出てきたね…

ツヨ:もうこんな時間か、オバーそろそろ行くね。ありがとう。

オバー:あぁ、ゆっくりおやすみ。お疲れさま…ありがとう。



END