福地ダム


残されポポ


ポポ:キジムー!! キジムー!!

オバー:おやおや、ずいぶん懐かしい呼び声だとおもったらポポじゃないか

ポポ:おひさー 元気にしてた⁉

オバー:元気もなにも、若い渡り鳥の話し相手ばかりしてるよw

ポポ:相変わらずなんだねw

オバー:アンタもまだ現役で海を渡ってるんだ

ポポ:動いてないと倒れちゃうのよw 人間の乗る自転車ってやつと同じねw

オバー:それは大変だw

ポポ:そういえば、前に話してくれてた「福地ダム」連れてってくれない?

オバー:いいよ、今から行く⁉

ポポ:よろしく♪



【福地ダムレビュー】

ポポがオバーにリクエストしてやってきた「福地ダム」は、沖縄県で最大のダムでその歴史は米軍統治下時代までさかのぼります。

沖縄本島に暮らす若者が、車の免許を取ると一番初めにする「沖縄本島一周ドライブ」の「本島一周スポット」の一つでもあり、一部では「名護のエンダー(=A&W)」や「辺戸岬」と併せて、北部3大スポットと呼ばれていたりするんですよ。

ダムの上流から貯めすぎた水を海へ放出する光景は、地元民でもなかなか見られないので、やんばるをドライブする際には運試しにぜひ立ち寄ってみてね♪



ポポ:この人間が造ったダムってのはすごいよねー

オバー:ホント、水をせきとめることができるなんて、私たち鳥にはできないもの

ポポ:でもさ、こんなダムでも貯められないくらいの雨が降るんだよね…

オバー:なんかあったのかい?

ポポ:ここ数年、よくいってたところがあるんだけど毎年凄い大雨でさ、山か川か海かわからないくらいの洪水で、たくさん仲間がいなくなっちまったんだ。

オバー:それはつらいね… アンタは無事でよかったじゃないか

ポポ:そうでもないんだ、いなくなった奴らはみんなアタシより若くてさ、こんな老いぼれが生き残ってしまうなんてって思っちゃうんだよ…

オバー:自然はいつも理不尽だからね…





ポポ:子供のころはさ、自然の理不尽でいなくなっちまうのは不幸だって思ってたんだ。

オバー:そうだね、アタシもだよ。

ポポ:でも今はの残されて生きていくことも不幸なんじゃないかって思うんだ

オバー:確かに、その通りだね…

ポポ:私たちはいつか消えていなくなる。

オバー:それだけが生き物に与えられた唯一の平等だからね

ポポ:なんかさ、終わりだけ平等ってイジワルだと思わない⁉

オバー:思ってたねーwww

ポポ:過去形なんだ⁉





オバー:まー、アンタよりは少し長生きしてるんでねw

ポポ:どうな納得したのか教えて!!

オバー:例えばポポとアタシが同じ親から生まれて、同じ環境で育って、同じように旅をして、同じように消えていくとする

ポポ:うんうん、それで⁉

オバー:その場合、どっちがアタシでどっちがポポだと思う⁉

ポポ:名前がついてる方じゃない⁉

オバー:www偉い!! それじゃ名前も平等に同じだったとしたら⁉

ポポ:それじゃわかんないじゃん

オバー:正解





ポポ:そんなん当たり前でしょ? みんな同じならいる意味ないじゃん

オバー:正解

ポポ:へ⁉ どういうこと⁉

オバー:理不尽も必要なことなの

ポポ:なんか頭がこんがらがってきた

オバー:全てが平等だと存在する意味がないってことよ

ポポ:存在する意味がない⁉ でもさ、今の例えでも名前さえ別に付ければいいだけでしょ?

オバー:つけられた名前がお気に召さなかったら理不尽が始まるわねw

ポポ:あー





オバー:アタシわね、生き物は理不尽を受け入れることと引き換えに、どんな生き方をしてもいいって自由を与えられているって考えてるの。

ポポ:どんな生き方も自由

オバー:いつか消えることは決まってるんだから、生き方くらい自由に選んでいいのよ。

ポポ:でもさ、理不尽に逆らえないことだってあるじゃない?

オバー:それは思い込みよw このダムだって上流に溢れた水を出すところがあるのよ

ポポ:えっ⁉ 水って高いところから低いところへ流れるじゃない⁉ なんで上流で水を海に出すことができるの?

オバー:川の上流が下流より必ず高い位置のあるってわけじゃないだなこれがw

ポポ:あー





オバー:面白いでしょw

ポポ:理不尽だと思うことも案外そうでもないってこと⁉

オバー:とらえ方次第でねw

ポポ:そっか、起こってしまったことはしょうがない。時間は戻せないもんね

オバー:でもこれからの時間を使って、何ができるかを選べる自由はある。

ポポ:アタシ、まだ生きてていいんだね

オバー:もちろん、自由にね

ポポ:キジムありがと☆ 会いに来てよかった!!

オバー:こちらこそ、ワタシを忘れないでいてくれて、ありがとう。



END